最終更新日: 2024年08月21日
KANOSUKE 嘉之助蒸溜所
東シナ海に面した吹上浜の広大な敷地に建つ嘉之助蒸溜所。1883年創業の焼酎メーカー・小正醸造が開設し、2017年11月より生産をスタートした。小正醸造は二代目の小正嘉之助が手掛けた本格米焼酎「メローコヅル」で知られ、焼酎の樽熟成をいち早く実践したパイオニアでもある。蒸留所の名前を「嘉之助」としたのも、二代目の開拓者精神を引き継ごうという意思からだ。現在は四代目の小正芳嗣氏が指揮を執り、「焼酎造りの伝統と知見を活かした世界に通用するウイスキー」を目標に掲げる。
仕込みはワンバッチ麦芽1トン。マッシュタン、ウォッシュバック、ポットスチルはすべて三宅製作所製で、ステンレス製発酵槽などは焼酎蔵と同じように床に埋め込まれている。ポットスチルにも嘉之助ならではの工夫が随所に見られ、それぞれ容量の異なる3基が稼働中。ランタンヘッドとストレート型が混在し、ラインアームもすべて角度を変えている。3基のうち1基は初留と再留どちらにも対応するユニークな仕様で、冷却装置が屋内ワームタブというのも特徴だ。これにより香りや味わいに変化が生まれ、多様な原酒が得られるという。
2021年6月には、メローコヅルで使用したオーク樽の熟成原酒を使った初のシングルモルトをリリース。焼酎を製造する日置蒸溜蔵ではジンやグレーンウイスキーの製造も行っており、自社生産のモルトとグレーンによるブレンデッドウイスキーのリリースも視野に入れている。また同年9月には、英大手ディアジオからの資本参加(長期的パートナーシップ)を発表。「嘉之助」ブランドをはじめとする同社の今後の海外展開に、大きな注目が集まりそうだ。
所在地 | 鹿児島県日置市日吉町神之川845-3 |
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所有者(オーナー企業) | 小正嘉之助蒸溜所(小正醸造) |
創業年(会社設立年) | 1883年(小正商店) |
ウイスキー蒸留開始年 | 2017年 |
仕込水 | 非公表 |
麦芽のフェノール値 | ノンピート、ヘビリーピート(~50ppm) |
モルティング | 無 |
モルトミル | ローラーミル(ドイツ、カンゼル製) |
ワンバッチ麦芽仕込量(マッシュレイシオ)/仕込回数 | 1トン(マッシュレイシオ1:6)/年間約400回 |
年間生産能力(LPAまたはリットル[平均アルコール度数]) | 22万リットル(LPA) |
糖化槽(マッシュタン)・濾過器/数/容量(張込量) | ステンレス・セミロイタータン(サイトグラス付き・三宅製作所製)×1基/6,000リットル |
麦汁量/麦汁糖度 | 5,200リットル/糖度約14度 |
イースト菌/添加量 | 蒸留酒酵母(一部エール酵母を使用) |
発酵槽(ウォッシュバック)/数/容量(張込量)/発酵時間/モロミ度数 | ステンレス(三宅製作所製)×5基/約7,000リットル(5,600リットル) |
初留器タイプ/数/容量(張込量) | ストレート型(三宅製作所製)×1基/6,000リットル(5,600リットル) |
加熱方式:初留/時間 | スチームパーコレーター |
冷却装置:初留 | ワームタブ(40m) |
再留器タイプ/数/容量(張込量) | ストレート型(三宅製作所製)×1基/3,000リットル(3,000リットル)、ランタン型(三宅製作所製)×1基/1,600リットル(1,500リットル) |
加熱方式:再留/時間/ミドルカット(度数) | スチームパーコレーター |
冷却装置:再留 | ワームタブ(40m、20m) |
樽詰度数 | 63% |
ウェアハウス/貯蔵タイプ | ラック式/約1,000樽×3棟、約200樽×1棟、約600樽×1棟 |
ボトリング設備 | 無 |
ビジターセンター/見学 | 有/可(要予約、ツアー1日2回開催、1,000円、見学ツアー参加者のみ試飲可) |
製品 | ウイスキー |
特記事項 | 敷地面積約1万平方メートル、延床面積約1,700平方メートル。蒸留所名は「メローコヅル」の生みの親である小正醸造2代目小正嘉之助氏から命名。容量3,000リットルの再留釜は初留釜に切り替え可能。ボトリングは小正醸造にて行う。 |
1883(明治16) | 小正商店(現小正醸造)創業。本格焼酎「小鶴」販売。 |
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1951(昭和26) | 焼酎の樽詰めを開始。 |
1957(昭和32) | 日本初となる全量樽熟成焼酎「メローコヅル」発売。 |
2017(平成29) | ウイスキー製造免許取得。蒸留所を開設。ウイスキー仕込みを開始。 |
2018(平成30) | 一般公開を開始。「嘉之助 ニューボーン2018 ホワイトオークカスク 8ヶ月 ノンピート」発売。日置蒸溜蔵においてスピリッツ製造免許取得、「KOMASA GIN」発売。 |
2019(令和元) | 「嘉之助 ニューボーン 蒸溜所限定第1弾 2019」発売。 |
2020(令和2) | 樽販売のカノスケ オーナーズ クラブ募集を開始。「嘉之助 ニューボーンハンドフィルボトル2020」「嘉之助 ニューボーン2020 ピーテッド」 発売。日置蒸溜蔵においてウイスキー製造免許取得。 |
2021(令和3) | 「シングルモルト嘉之助2021 First Edition」「同 Second Edition」「シングルモルト嘉之助 蒸溜所限定 #001」発売。ウイスキー製造事業を分社化し、小正嘉之助蒸溜所株式会社を設立、英大手ディアジオからの資本参加を発表。 |
2022(令和4) | 「シングルモルト嘉之助 蒸溜所限定 #002」「同 #003」「同 #004」「同 #005」「シングルモルト嘉之助 Artist Edition #001」「シングルモルト嘉之助2022 Limited Edition」発売。 |
2023(令和5) | 定番商品としての「シングルモルト嘉之助」発売。「シングルモルト嘉之助 蒸溜所限定 #006」「シングルモルト嘉之助 Artist Edition #002」「シングルモルト嘉之助 SHIROYAMA HOTEL kagoshima 60th ANNIVERSARY SELECTION」「シングルモルト嘉之助2023 Limited Edition」、日置蒸溜蔵で造られた原酒を嘉之助蒸溜所熟成庫で樽熟成した「嘉之助 HIOKI POT STILL」発売。 |
2024(令和6) | 「THE STORY OF KANOSUKE JAL Limited Edition」、「嘉之助 DOUBLE DISTILLERY」発売。 嘉之助蒸溜所ブランドローンチイベント「The Mellow Experience」東京・大阪にて開催。嘉之助蒸溜所内ショップ限定「嘉之助 Conponent Series EX-BOURBON CASK」「同 RE-CHARRED EX-SHOCHU CASK」「同 EX-SHERRY CASK」3種を発売。 |
東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)受賞歴
<TWSC2019 嘉之助蒸溜所「ベスト・ジャパニーズ・クラフトディスティラリー・オブ・ザ・イヤー2019」受賞>
<TWSC2019「嘉之助ニューボーン2018 ホワイトオークカスク8ヵ月 ノンピート」 ベストニューカマー受賞>
<TWSC2020>
銀 賞 | 嘉之助 ニューボーン 蒸溜所限定#2 ワインカスクフィニッシュ |
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銅 賞 | 嘉之助 ニューボーン2019 16ヶ月 バーボンカスク/嘉之助 ニューボーン 蒸溜所限定#1 |
<TWSC2021>
金 賞 | 嘉之助 ニューボーン 蒸溜所限定#3 ホワイトワインカスクフィニッシュ(ジャパニーズニューメイクウイスキー カテゴリーウィナー) |
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銀 賞 | 嘉之助 ニューボーン2020 ピーテッド ホワイトオークカスク 24ヶ月 |
<TWSC2022>
最高金賞 | 嘉之助2021 ファーストエディション(ジャパニーズウイスキーシングルモルトノンエイジ カテゴリーウィナー) |
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金 賞 | 嘉之助2021 セカンドエディション/嘉之助 蒸溜所限定ボトル#001 |
銀 賞 | 嘉之助2018 3年 鶴と空#01 ウイスキートーク福岡2021 限定ボトル |
<TWSC2023>
最高金賞 | シングルモルト 嘉之助 アーティストエディション#002 (ベスト・カテゴリー賞 ベスト・シングルモルトジャパニーズウイスキー部門) |
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金 賞 | 嘉之助 |
<TWSC2024>
最高金賞 | 嘉之助 DOUBLE DISTILLERY |
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銀 賞 | 嘉之助 HIOKI POT STILL |
銅 賞 | シングルモルト 嘉之助 |
更新履歴: | 2021年9月13日/9月27日/2022年5月13日/6月19日/9月13日/2023年2月8日/3月31日/4月20日/5月19日/8月29日/11月28日/2024年4月10日/8月9日/8月21日 |
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