最終更新日: 2023年08月25日
MAOI 馬追蒸溜所
石狩平野を一望する絶景の地に建つ馬追蒸溜所。2021年11月に建物が完成し、2022年9月よりウイスキーの蒸留を開始した。
馬追蒸溜所の前身は、2006年に設立されたマオイワイナリー。僅か0.5ヘクタールという日本最小のワイナリーを北海道自由グループが買収し、畑を13ヘクタール超に拡張。ワインだけでなく、フルーツブランデー、グラッパ、グレーンウイスキー、モルトウイスキーを造る計画で馬追蒸溜所を開設した。
蒸留所にスチル他の蒸留機器が設置されたのは、2022年5月。フォーサイス社がプランニングから機器の製作まですべてを請け負った。建物の1階に、モルトミルからマッシュタン、そして2基のステンレス発酵槽までが収められている。
ウイスキーの仕込みは1バッチ麦芽200㎏。北海道産の「りょうふう」や、英国ポールズモルト社製のノンピーテッドを使う。マッシュタンはレイキのない簡便な物で、攪拌などはすべて手作業で行う。スチルはフォーサイスとしては珍しいハイブリッドで、容量はワンバッチの麦芽から得られる麦汁、発酵液をそのまま投入できる1,000リットル。特殊なコラム塔が2つ付いており(精留塔とメタノール塔)、フルーツブランデー、グレーンウイスキー、グラッパの製造に用いる。モルトウイスキーはコラム塔を使わずに、単純に蒸留を繰り返す2回蒸留だ。年間仕込み回数はモルトとグレーン合わせて60回程度になる予定で、約6,000リットル(平均アルコール度数67%)の生産を見込む。
熟成は、ワイナリーの前オーナーが核戦争を憂慮してつくったという地下シェルターで行う。山の斜面に掘られたシェルターは、中がコンクリート製で小さな体育館ほどの広さ。ラック式で300樽ほど貯蔵できるという。
蒸留所には、馬追のワインのほか、グループ蒸留所である紅櫻蒸溜所のジンなども試飲できるカウンターがあり、商品の購入も可能。そこに馬追のウイスキーが加わるのは2025年の予定だ。
所在地 | 北海道夕張郡長沼町字加賀団体 |
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所有者(オーナー企業) | MAOI |
創業年(会社設立年) | 2006年(マオイワイナリー) |
ウイスキー蒸留開始年 | 2022年 |
仕込水 | 馬追丘陵の水 |
モルティング | 無 |
モルトミル | 2本ローラ―ミル(フォーサイス製)×1基 |
ワンバッチ麦芽仕込量(マッシュレイシオ)/仕込回数 | 200kg/年60回 |
年間生産能力(LPAまたはリットル[平均アルコール度数]) | 6,000リットル(67%) |
糖化槽(マッシュタン)・濾過器/数/容量(張込量) | ステンレス(フォーサイス製)×1基(人手による攪拌)/1,000リットル(1,000リットル) |
麦汁量/麦汁糖度 | 1,000リットル/約17度 |
イースト菌/添加量 | (1バッチ)0.75kg |
発酵槽(ウォッシュバック)/数/容量(張込量)/発酵時間/モロミ度数 | ステンレス(フォーサイス製)×2基/1,000リットル(1,000リットル)/発酵24~36時間 |
初留器タイプ/数/容量(張込量) | バルジ型(フォーサイス製)×1基/約1,000リットル(1,000リットル) および コラムスチルのハイブリッド型(精留塔×1基、メタノール塔×1基)1セット |
加熱方式:初留/時間 | スチーム/約6時間 |
冷却装置:初留 | 冷却塔 |
再留器タイプ/数/容量(張込量) | 無(初留釜・ハイブリッド型で兼用)/再留約6時間 |
加熱方式:再留/時間/ミドルカット(度数) | スチーム/約6時間 |
冷却装置:再留 | 冷却塔 |
樽詰度数 | 約60% |
ウェアハウス/貯蔵タイプ | ラック式(ワイナリー内に建てられた核シェルターを熟成庫に利用)/約300樽貯蔵可能 |
ボトリング設備 | 有 |
ビジターセンター/見学 | 有/可(要予約)・無料/ツアー土曜1回、日曜2回(要確認)/試飲有 |
製品 | ウイスキー ブランデー その他スピリッツ |
特記事項 | MAOI(旧北海道自由ワイン)がマオイ自由の丘ワイナリー内に蒸留所・新醸造施設を約5億円で建設。標高約130ⅿ、2階建て延床面積約850平方メートル。25品目ほどの洋酒(ワイン、ブランデー、ウイスキー)を製造、自社畑や契約農家で栽培したぶどうを使用する「ファーストワイン」、ぶどうの他にリンゴ、イチゴなどを原料にしたブランデー、グラッパ、トウモロコシ原料の「道産コーンウイスキー」などの生産を予定。 |
2006(平成18) | マオイワイナリー設立(2004年より長沼町で葡萄栽培を実施)。 |
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2017(平成29) | 北海道自由グループ(札幌市)が買収し、ワイナリー名を「北海道自由の丘」、社名を「北海道自由ワイン」に変更し、作付けを13ヘクタールに増やす。 |
2020(令和2) | マオイ蒸溜所建設を計画し、ブランデーのクラウドファンディングを実施(~2022年)。 |
2021(令和3) | MAIO株式会社に社名変更。 |
2022(令和4) |
蒸留所内覧会(報道公開)、プレオープン、グランドオープン。ウイスキー製造免許取得。「道産コーンウイスキー」の仕込みを開始。初のフルーツブランデー・ニューポット「メタモルフォシス アップルブランデー」発売。「メタモルフォシス "ジ・オリジン" シングルモルト・ニューボーン」「メタモルフォシス ”ニューポット” メイド・フロム・UKモルト」発売。 |
2023(令和5) | 「メタモルフォシス ”ライラー” シングルモルト・ニューボーン」発売。北海道産コーングリッツを主原料としたウイスキーの蒸留を開始。「メタモルフォシス 北海道コーンウイスキー・ニューポット」限定発売。会員限定で「馬追蒸溜所プライベートカスク40リットルEXシェリー/北海道産モルト」(第1期)、「同 EXシェリー/英国産モルト」(第2期)オーナー募集を開始。 |
2025(令和7) | ウイスキー初出荷(予定)。 |
更新履歴: | 2022年8月31日/2023年2月20日/4月24日/6月21日/8月25日 |
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