最終更新日: 2023年08月29日
SATSUMA TSUKASA さつま司蒸溜蔵
鹿児島空港から車で15分ほど、錦江湾の北端に位置する姶良(あいら)市加治木町にあるのが、1936年創業のさつま司蒸溜蔵。日豊本線の加治木駅からは歩いてすぐの距離で、蔵の横を鉄道が走り、列車の窓からも「さつま司」の看板がよく見える。創業当初は姶伊(あいい)酒造といっていたが、その後いく度か改名し、2002年にアサヒビールの傘下に。さらに11年にはニッカの子会社となり、17年にニッカウヰスキーさつま司蒸溜蔵に組織再編された。
造っているのは地元鹿児島産のさつま芋を使った本格芋焼酎だが、ニッカの子会社となって以来、焼酎造りの伝統と、ニッカのブレンド技術、樽熟成技術を活かした新しい焼酎造りにも挑戦。その両者の伝統と技術が融合したのが、2018年から始まったグレーンウイスキー造りである。ここでは大麦を使ったグレーンと、コーン、ライ麦を使ったコーンライ・グレーンの2種類を造っている。現在、この2つが、ニッカディスカバリーシリーズ第3弾、「ニッカ ザ・グレーン」の原酒として使われている。
大麦グレーンの原料となるのは、外国産の二条大麦。麦焼酎と同じように、それを精麦し、丸麦の状態で納入する。それを蒸して、そこに数%の麦芽を加えて糖化させるが、麦芽は粉砕された状態で入ってくる。さらに酵母を加えて発酵させるが、発酵には1週間以上かかり、アルコール分10%くらいのモロミができるという。蒸留は焼酎用のステンレス蒸留器で、さつま司には2基しかなく、どちらも常圧、減圧両方できるが、グレーンは常圧で2回蒸留している。
コーンライの原料はデントコーンとライ麦で、そこに麦芽を加えて同様に糖化・発酵を行う。目指すのはコーンの甘味が効いたバーボンタイプのグレーンで、コーンとライの比率は一般的なバーボンとほぼ同じ。熟成も大麦グレーンがホグスヘッドなどを使うのに対し、コーンライは内側を焦がしたホワイトオークの新樽も使うという。味わいはバーボンのように甘く、それでいて飲みやすくキレのある仕上がりとなっている。
所在地 | 鹿児島県姶良市加治木町諏訪町200 |
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所有者(オーナー企業) | ニッカウヰスキー(アサヒグループホールディングス) |
創業年(会社設立年) | 1936年(姶伊酒造) |
ウイスキー蒸留開始年 | 2018年 |
モルティング | 無 |
糖化槽(マッシュタン)・濾過器/数/容量(張込量) | ステンレス |
初留器タイプ/数/容量(張込量) | ストレート型ステンレス焼酎用(常圧・減圧切替可:ウイスキーは常圧で蒸留)×1基 |
加熱方式:初留/時間 | スチーム |
再留器タイプ/数/容量(張込量) | ストレート型ステンレス焼酎用(常圧・減圧切替可:ウイスキーは常圧で蒸留)×1基 |
加熱方式:再留/時間/ミドルカット(度数) | スチーム |
ウェアハウス/貯蔵タイプ | ラック式 |
ボトリング設備 | 有 |
ビジターセンター/見学 | 無/不可 |
製品 | ウイスキー その他スピリッツ |
特記事項 | ニッカウヰスキーが所有するアサヒグループ焼酎の製造拠点になっている。主な製品は「さつま司」「龍門滝」。ウイスキーは常圧2回蒸留で製造。標高約10m、敷地面積約1,600平方メートル。 |
1936(昭和11) | 姶伊酒造(あいい)として創業。焼酎の製造を行う。 |
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1944(昭和19) | 三州興業に社名変更。 |
1953(昭和28) | 金菱酒造に社名変更。 |
1968(昭和43) | 協和醗酵工業の子会社となり、さつま司酒造㈱に社名変更。 |
2002(平成14) | アサヒビールの傘下となる。 |
2011(平成23) | アサヒグループ、ニッカウヰスキーの子会社になる。 |
2017(平成29) | ニッカウヰスキーの所有となり、 同社のさつま司蒸溜蔵に組織再編され8番目の工場となる。 |
2018(平成30) | ウイスキー製造免許新規取得、製造開始。 |
2023(令和5) | NIKKA DISCOVERYシリーズ第3弾、宮城峡蒸溜所、西宮工場、門司工場、さつま司蒸溜蔵の原酒を使った「ニッカ ザ・グレーン(さつま司の原酒は大麦グレーンおよびコーン・ライ麦原酒)発売。 |
2024(令和6) | ニッカウヰスキー創業90周年記念でニッカ関連蒸留所の原酒を使ったブレンデッドウイスキー「ザ・ニッカ ナインディケイズ」を限定発売。 |
更新履歴: | 2023年3月25日/8月29日 |
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