最終更新日: 2024年08月09日
SUNTORY CHITA サントリー知多蒸溜所
全農グループ(JA)との共同出資で1972年に創設され、翌年より稼働を開始した日本最大のグレーンウイスキー蒸留所。伊勢湾の内海に広がる工業地帯の一角に位置し、モルト原酒を生産する山崎や白州の緑豊かなロケーションとは趣を異にしている。蒸留所に入るとまず目に入るのが、全高30メートルにもなる、巨大な連続式蒸留機だ。
当初は第1プラントのみだったが、77年には第2プラントも完成。さらに知多蒸溜所の創業50周年を機に2019年からは大規模改修に乗り出し、総額100億円の巨費を投じて、第3プラントの新設、仕込槽の増設、そしてバイオマスボイラーの新設を行った。従来の第1、第2プラントは4塔からなる多塔式の連続式蒸留機だったのに対し、2022年7月から稼働開始となった第3プラントはカフェ式蒸留機と呼ぶ、モロミ塔、精留塔のみの2塔式。多塔式に比べて、より原料穀物の香味を残すことが可能になったという。従来は第2プラントの2塔から4塔を使い分けることでヘビー、ミディアム、クリーンという3タイプのグレーンを造ってきたが、第3プラントの稼働により、さらに原酒の多様性が広がった形だ。
知多で生産されたグレーン原酒は「響」や「角瓶」といった同社のブレンデッドウイスキーに使用されるほか、2015年からはシングルグレーン「知多」を発売。こちらもISCで金賞を受賞するなど世界的な評価をものにしている。その他、蒸留所ではサントリーが発売するチューハイ原酒のスピリッツも生産している。一般見学は受け付けていない。
所在地 | 愛知県知多市北浜町16 |
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所有者(オーナー企業) | サントリー知多蒸溜所(サントリーホールディングス) |
創業年(会社設立年) | 1972年(サングレイン) |
ウイスキー蒸留開始年 | 1973年 |
仕込水 | 木曽川上流からの愛知用水(軟水、硬度18) |
モルティング | 無 |
モルトミル | ハンマーミル |
ワンバッチ麦芽仕込量(マッシュレイシオ)/仕込回数 | 連続式 |
年間生産能力(LPAまたはリットル[平均アルコール度数]) | - |
糖化槽(マッシュタン)・濾過器/数/容量(張込量) | 複数の棚段を利用したクッカー(100~150℃)で加圧蒸煮、60℃で糖化 |
麦汁量/麦汁糖度 | - |
イースト菌/添加量 | ディスティラーズ酵母 |
発酵槽(ウォッシュバック)/数/容量(張込量)/発酵時間/モロミ度数 | ステンレス長大タンク(ファーメンター)×12基/72万~75万リットル/発酵50~85時間 |
初留器タイプ/数/容量(張込量) | 多塔式連続式蒸留機(グレーンウイスキー製造用4塔)×1セット、カフェ式連続式蒸留機(2塔式)×1セット |
加熱方式:初留/時間 | スチーム |
冷却装置:初留 | シェル&チューブ、プレート式 |
再留器タイプ/数/容量(張込量) | - |
樽詰度数 | 63%未満(貯蔵環境により、最適な度数を決定する)% |
ウェアハウス/貯蔵タイプ | 無(山崎蒸溜所、白州蒸溜所、近江エージングセラーにて熟成貯蔵。サントリーの貯蔵能力は合計約170万樽) |
ボトリング設備 | 無 |
ビジターセンター/見学 | 無/不可 |
製品 | ウイスキー その他スピリッツ |
特記事項 |
敷地面積約5万平方メートル。原料はイエローデントコーン(トウモロコシ)約9割、アメリカ産。糖化用大麦麦芽約1割、フィンランド産など。 連続式蒸留機は、グレーンウイスキー製造のほかにスピリッツ製造用の連続式蒸留機2塔を設置。全体で6塔式(4塔式+2塔)となっている。 ①モロミ塔(シーブトレイ式)、②抽出塔、③精留塔(銅製バブルキャップ式)、④精製塔(銅製バブルキャップ式)によるグレーンウイスキー製造、および⑤⑥スピリッツ製造用のスピリッツ塔2塔により構成されている。③④合わせて約90棚段有。塔の高さ約30m。 ①モロミ塔:アルコール約80%で蒸留、②抽出塔:加水しアルコール約20%に調製後に再蒸留、③精留塔④精製塔(第2精留塔)。グレーン原酒は①③2塔使用でヘビータイプ、①③④3塔でミディアムタイプ、①②③④4塔でクリーンタイプへと3種類造り分けている。 これに加えて、2022年にカフェ式連続式蒸留機1セットを導入している。 |
1972(昭和47) | サントリーと全農グループによりサングレイン設立。 |
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1973(昭和48) | 知多蒸溜所竣工。グレーンウイスキー製造開始。 |
1977(昭和52) | グレーンウイスキー製造第2プラントを増設。 |
1980(昭和55) | グレーンウイスキーの年間生産量4,000万リットルを達成。 |
1985(昭和60) | スピリッツ製造を開始。 |
1993(平成5) | 「サングレイン20周年記念ウイスキー」発売。 |
1996(平成8) | 原料用アルコールの製造を開始。 |
1997(平成9) | 副産物リサイクルのためのバイオマスボイラー(省エネ設備)を採用。 |
2000(平成12) | 「知多蒸溜所特製グレーン」発売。 |
2004(平成16) | 知多蒸溜所がSMWSのグレーンウイスキー蒸留所に登録される(G13番)。 |
2005(平成17) | 本社を東京から知多市へ移転。 |
2008(平成20) | 創業からの累計蒸留量10億リットルを達成(年平均約2600万リットル)。 |
2009(平成21) | 燃料をLNGへ転換する。 |
2011(平成23) | 省エネタイプのアルコール系L塔(抽出塔)を更新。 |
2013(平成25) | 「知多蒸溜所40周年記念シングルグレーン」発売。 |
2014(平成26) | 「シングルグレーン知多蒸溜所」発売。 |
2015(平成27) | 「シングルグレーン知多」発売。 |
2017(平成29) | グレーンウイスキーの年間生産量5,000万リットル超を達成。 |
2018(平成30) | ザ・エッセンス・オブ・サントリーウイスキー「シングルグレーン知多蒸溜所 ワイン樽4年後熟」発売。 |
2019(平成31) | サングレインからサントリー知多蒸溜所へ社名変更。 |
2020(令和2) | ザ・エッセンス・オブ・サントリーウイスキー「シングルグレーン知多蒸溜所(桜樽後熟ブレンド)」発売。 |
2022(令和4) | カフェ式連続式蒸留機1セットを新たに設置し稼働開始。 |
2023(令和5) | 「トリスハイボール缶〈美味しい濃いめ〉」「同〈新橋トリスバー監修 ビターライム〉」「響ジャパニーズハーモニーアニバーサリーエディション」「響21年アニバーサリーエディション」発売。 |
東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)受賞歴
<TWSC2019>
最高金賞 | 響21年(ベストジャパニーズブレンデッド) |
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銀 賞 | 響ジャパニーズハーモニー |
<TWSC2020>
金 賞 | 響21年 |
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銀 賞 | 知多/響ブレンダーズチョイス/響ジャパニーズハーモニー |
<TWSC2021「響21年」殿堂入り>
金 賞 | 響21年(ジャパニーズウイスキー・ブレンデッドカテゴリーウィナー) |
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銀 賞 | 響ブレンダーズチョイス |
銅 賞 | 知多/響ジャパニーズハーモニー |
<TWSC2022「響21年」ベスト・オブ・ザ・ベスト【BLENDED】受賞/「響21年」殿堂入り(更新)>
最高金賞 | 響21年(Best of the Best) |
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金 賞 | 響ジャパニーズハーモニー/響ブレンダーズチョイス |
銀 賞 | 知多 |
<TWSC2023>
最高金賞 | 響 21年(ベスト・カテゴリー賞 ベスト・ブレンデッドジャパニーズウイスキー部門)/響 ブレンダーズチョイス |
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金 賞 | 響 ジャパニーズハーモニー/知多 |
<TWSC2024>
最高金賞 | 響21年 |
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銀 賞 | 響 ブレンダーズチョイス |
銅 賞 | 知多/響 ジャパニーズハーモニー |
更新履歴: | 2021年9月10日/10月28日/12月22日/2022年5月21日/6月19日/8月21日/2023年3月24日/5月19日/8月29日/9月26日/2024年4月7日/8月9日 |
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