最終更新日: 2023年05月16日
GAIAFLOW SHIZUOKA ガイアフロー静岡蒸溜所
JR静岡駅から安倍川沿いに車で40分ほど。オクシズ(奥静岡)の山々に囲まれた、緑豊かな自然の中に建つのがガイアフロー静岡蒸溜所だ。ウイスキーの輸入販売事業を行っていた中村大航氏によって2016年に開設し、同年10月に蒸留をスタートした。敷地内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが冷却水用の大きな貯水池。その池の畔に建つ蒸溜所の内外装には静岡産の檜が使われているという。和洋の美を現代的に調和させたこの建物は、静岡在住のアメリカ人建築家バストン・デレック氏によるデザインだ。
ガイアフローでは地元静岡の風土に根差したウイスキー造りをポリシーに掲げ、2018年にはオール静岡産ウイスキーの仕込みも実現させた。現在の仕込み量はワンバッチ麦芽1トン。稼働する3基のポットスチルのうちの一つは軽井沢蒸留所(2012年閉鎖)から移設された初留釜の「K」で、2020年には「K」で蒸留した原酒で構成された初のシングルモルトを発売した。また、フォーサイス社に発注した「W」(初留)は、おそらく世界唯一の薪による直火焚き蒸留器。もちろん、使用する薪は地元の間伐材だ。こちらも2021年に初のシングルモルトが発売され、ボディ感のある原酒に仕上がっている。
所在地 | 静岡県静岡市葵区落合555 |
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所有者(オーナー企業) | ガイアフローディスティリング |
創業年 | 2012年(ガイアフロー) |
生産開始年 | 2016年 |
仕込水 | 中河内川伏流水・蒸留所内の井戸水(硬度69) |
年間生産能力 | 7万リットル[LPA] |
麦芽仕込量(ワンバッチ) | 1トン |
モルティング | 無 |
麦芽のフェノール値 | ノンピート、ヘビリーピート40ppm |
モルトミル | 4本ローラーミル(ポーティアス製・元メルシャン軽井沢蒸留所) |
マッシュタン | ステンレス・フルロイタータン(三宅製作所製)/9,300リットル(4,000リットル) |
麦汁量 | 5,200リットル |
イースト菌/量 | マウリ製ドライイースト(ピナクル)、静岡モルトイースト(NMZ-0688) |
ウォッシュバック/数/容量(張込量) | オレゴンパイン(ウッドワークス製)×4基/8,000リットル、静岡県産杉材(蓋含む)(ウッドワークス製)×6基/8,000リットル |
初留器タイプ/数/容量(張込量) | バルジ型(フォーサイス製、名称:W)×1基/6,000リットル(5,000リットル)、ランタン型(日本蒸溜工業製、名称:K、旧メルシャン軽井沢蒸留所)×1基/3,500リットル |
再留器タイプ/数/容量(張込量) | バルジ型(フォーサイス製、名称:S)×1基/4,000リットル(3,600リットル) |
加熱方式:初留/再留 | W=薪直火(約800℃)およびスチームパイプ併用可能なハイブリッド型、K=スチームパイプ/スチームパイプ&フィン/S=スチームプレートヒーター |
冷却装置:初留/再留 | シェル&チューブ |
樽詰度数 | 63.8% |
ウェアハウス/貯蔵 | ダンネージ式×1棟、ラック式(6段)×1棟、および第3熟成庫/3,800樽 |
ボトリング設備 | 有 |
ビジターセンター/見学 | 有/可(要予約)/1,100円(月水金1日1回、土日1日3回程度開催) |
製品 | ウイスキー |
特記事項 | 敷地面積約2万平方メートル(製造棟:約900平方メートル、熟成庫:約420平方メートル、第2:約680平方メートル)、標高約180m。スピリッツ製造用にバイブリッド型スチル(ホルスタイン製)を所有。ウェアハウスに元軽井沢蒸留所のランタン型ポットスチル2基を展示。シンボルはカワセミと鮎。海外ウイスキー・スピリッツブランド(ブラックアダー、アムルット、アスタモリス、スペイ、ハイランドクィーンほか)の代理店業務も行う。 |
2012(平成24) | ガイアフロー、ウイスキー輸入代理店として創業。 |
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2014(平成26) | ガイアフローディスティリング設立。 |
2015(平成27) | 元メルシャン軽井沢蒸留所の製造設備の取得。蒸留所の建設を開始し、ウイスキー製造業に参入。 |
2016(平成28) | ガイアフロー静岡蒸溜所竣工。ウイスキー製造免許取得、蒸留開始。 |
2017(平成29) | 樽単位で購入できる「静岡プライベートカスク」販売開始(随時受付、2022年樽詰分については抽選)。 |
2018(平成30) | 年1回リリースするニューポット、ニュースピリッツ、ウイスキーを届ける「静岡プレミアムボトル・セレクション」販売。静岡県産杉材発酵槽を3基追加、合計8基となる。冷却用貯水池、第2熟成庫完成。オール静岡産ウイスキーの製造に向け、蒸留所近隣で栽培・収獲された大麦を原料に使用。 |
2019(令和元) | 「ブラックアダー 静岡フェア2019限定ボトル 静岡蒸溜所 シングルモルト ニューメイクスピリッツ 軽井沢蒸留機 29ヶ月」発売。その他にも、ブラックアダー及びアスタモリスとコラボレーションする形で、ニューメイクとカスクサンプルセットを海外限定で発売。オール静岡産ウイスキー造りで、静岡県焼津市で3軒の農家の協力により大麦栽培(二条大麦ニューサチホゴールデン)を本格的に開始、翌年5月収穫。 |
2020(令和2) | 初のガイアフローシングルモルト日本ウイスキー「静岡プロローグK」発売。静岡県産杉材発酵槽2基追加。 |
2021(令和3) | 「シングルモルト静岡プロローグW」「同コンタクトS」発売。 |
2022(令和4) | 「ガイアフローウイスキーブレンデッドM」「ブラックアダー ロウカスク シングルモルト静岡2018 3年 Cask No. 781」「同 Cask No. 1357 日本大麦100% 日本ワイン樽熟成」、日本産大麦麦芽100%使用した「シングルモルト静岡 ポットスティルK 純日本大麦 初版」「同ポットスティルW 純外国産大麦 初版」発売。ロッテが蒸留所とのコラボレーションで日本のクラフト酒チョコレート「YOIYO 静岡-782-」(シングルカスク782を使用)発売。第3貯蔵庫を建設。 |
2023(令和5) | 「シングルモルト静岡ポットスティルK 純外国産大麦 初版」発売。100リットル樽単位での予約サービス「プライベートカスク2023 クォーター」を販売。「シングルモルト静岡 ポットスティルW 純日本大麦 初版」発売。 |
更新履歴: | 2021年9月7日/9月16日/11月25日/12月02日/2022年4月19日/8月22日/2023年3月9日/5月16日 |
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