最終更新日: 2024年08月22日
SUNTORY HAKUSHU サントリー白州蒸溜所
南アルプス・甲斐駒ヶ岳の麓、標高約700メートルの地にあるサントリー第二の蒸留所。山崎蒸溜所の創業(建設着手)から50周年の節目にあたる1973年より操業を開始した。当時、蒸留所建設を指揮したのは同社二代目社長でマスターブレンダーの佐治敬三。多様な原酒の造り分けを目指す佐治にとって、四季折々の表情を見せる豊かな自然と清冽な水に恵まれた白州のロケーションは、まさにウイスキー造りの好適地だった。白州の仕込みに使われる水は、南アルプスの花崗岩層でじっくりと濾過された天然水。硬度約30度の軟水で(山崎蒸溜所の仕込み水は硬度約90度の中軟水)、ゆえに原酒の仕上がりも穏やかでクリーン。これが“森の蒸留所”と呼ばれる白州の個性を作り上げている。
発酵槽は木製(ベイマツ)のものが18基。蒸留器は2014年に4基増設され、現在は合計16基(初留釜8・再留釜8)が稼働する。形状は山崎と同じく多種多様で、大小のストレート型とランタン型がズラリと並ぶさまは壮観だ。伝統的な製法に倣い、木桶による長めの発酵、直火蒸留を行っているのも特徴。また2013年よりコフィー式連続式蒸留機が稼働し、グレーンやライタイプのウイスキーも生産できるようになっている。サントリーウイスキー100周年となる2023年にはフロアモルティングの新設、および酵母培養プロセスの導入を実施。
蒸留所の総面積は約82万㎡にも及び、敷地内にはバードサンクチュアリ(野鳥の聖域)のエリアを設けるなど、自然保護活動にも取り組んでいる。隣接する「ウイスキー博物館」には、スコッチをはじめとする世界のウイスキーの歴史や製造にまつわる貴重な展示も。最上階の展望台からは白州の広大な森と南アルプスの山並みが一望でき、こちらも観光客には人気のスポットだ。なお、同社が生産する「サントリー天然水 南アルプス」のボトリング工場も敷地内に併設、ミネラルウォーターのトップシェアを誇る。
所在地 | 山梨県北杜市白州町鳥原2913-1 |
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所有者(オーナー企業) | サントリー(サントリーホールディングス) |
創業年(会社設立年) | 1899年(鳥井商店) |
ウイスキー蒸留開始年 | 1973年 |
仕込水 | 南アルプス甲斐駒ヶ岳水系の花崗岩を通った地下水(硬度約30 軟水) |
麦芽のフェノール値 | 0~40ppm |
モルティング | 無 |
モルトミル | 4本ローラーミル(ポーティアス製) |
ワンバッチ麦芽仕込量(マッシュレイシオ)/仕込回数 | 10~18トン |
年間生産能力(LPAまたはリットル[平均アルコール度数]) | - |
糖化槽(マッシュタン)・濾過器/数/容量(張込量) | ステンレス・フルロイタータン(三宅製作所製)/13万リットル/その他にグレーンウイスキー用クッカー有り |
麦汁量/麦汁糖度 | 約5万5,000リットル |
イースト菌/添加量 | ディスティラーズ酵母、ブリュワーズ酵母 |
発酵槽(ウォッシュバック)/数/容量(張込量)/発酵時間/モロミ度数 | オレゴンパイン×18基/約7万5,000リットル(約5万5,000リットル)/その他にグレーンウイスキー用ステンレス製ファーメンター×6基。 |
初留器タイプ/数/容量(張込量) | ストレート型×5基、ランタン型×3基(マクミラン製・三宅製作所製)/8,000~2万3,000リットル) |
加熱方式:初留/時間 | ガス直火 |
冷却装置:初留 | シェル&チューブ×7基、ワームタブ×1基 |
再留器タイプ/数/容量(張込量) | ストレート型×6基、ランタン型×2基(三宅製作所製)/4,000~1万3,000リットル) |
加熱方式:再留/時間/ミドルカット(度数) | スチーム |
冷却装置:再留 | シェル&チューブ |
その他の蒸留器(ウイスキー・その他/タイプ/数) | グレーンウイスキー用 フォーサイス製カフェ式2塔式連続式蒸留機×1セット |
樽詰度数 | - % |
ウェアハウス/貯蔵タイプ | ラック式×18棟、ほか近江エージングセラー(19棟)を利用 |
ボトリング設備 | 無 |
ビジターセンター/見学 | 有/可(要予約)、リモート蒸留所ツアー有 |
製品 | ウイスキー |
特記事項 |
敷地面積約82万5,000平方メートル、標高約700m。 1973年の開設当時に設置され、現在の施設に交替した白州西のポットスチル12基が保存されている。 2010年フォーサイス製カフェ式2塔式連続式蒸留機を導入、2013年5月より本格稼働。蒸留塔高さ14m、モロミ塔18棚段、精留塔40棚段(生産能力は知多蒸溜所の1/10以下)。粉砕機、クッカー、ステンレス製ファーメンター×6基。 敷地内に原料保管サイロ23基、白州クーパレッジ(製樽工場)、サントリー天然水南アルプス白州工場あり。 |
1973(昭和48) | 山梨県白州町に白州ディスティラリー(白州第1)を開設、バードサンクチュアリ設営。 |
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1977(昭和52) | 白州ディスティラリー(白州第2)増設工事が完成。白州第1のフロアを延長して蒸留器12基を設置、合わせて発酵槽44基、蒸留器24基で生産量が2倍となり国内最大の蒸留所となる。 |
1979(昭和54) | 白州「ウイスキー博物館」を開設。 |
1981(昭和56) | 白州ディスティラリー第3プラント(白州第3)を開設。12基の発酵槽は木製、直火焚き蒸留で従来より小型の蒸留器12器(初留6、再留6)を設置。白州第1、第2は生産休止に向かう。 |
1983(昭和58) | 山梨県北杜市に八ヶ岳エージングセラーを竣工。(~2008年) |
1988(昭和63) | 白州第3プラントを白州東蒸溜所(現・白州蒸溜所)と改称、一般公開を開始。白州第1と第2は白州西蒸溜所となるが、以降蒸留作業は停止。白州第1は残されるが第2は大部分が解体される。 |
1989(平成元) | 「クレスト」発売。 |
1991(平成3) | 「ピュアモルト木桶仕込1981年直火蒸溜」「ピュアモルト古樽仕上1991年竹炭濾過」発売。 |
1992(平成4) | 「サントリーウイスキー白角」発売。 |
1993(平成5) | 水割りウイスキー「リザーブ&ウォーター」「特撰白角水割」「ブランデー&ウォーター」「冷撰洋酒 黒ラベル」「冷撰洋酒 白ラベル」発売。 |
1994(平成6) | 「響21年」「ピュアモルト白州(12年)」オールド(マイルド&スムーズ)」発売。 |
1996(平成8) | ミネラルウォーター製造「南アルプス天然水白州工場」竣工。「リザーブ10年」発売。 |
1997(平成9) | 蒸留残液処理に嫌気トータル処理システムを開発、導入。新「ローヤル12年」、新「ローヤル12年スリムボトル」、新「ローヤル15年」発売。 |
1998(平成10) | 「膳」発売。蒸留器一部を入れ替え(初留1基・再留2基)。 |
2000(平成12) | 日本推理作家協会共催イベント“ウイスキー&ミステリー”で「謎」ウイスキー制作(~2007年)。 |
2002(平成14) | 「CASKシリーズ」発売。 |
2003(平成15) | 白州蒸溜所がSMWSのモルトウイスキー蒸留所に登録される(120番)。 |
2004(平成16) | 「ヴィンテージモルト白州1981」「同1982」「同1985」「同1987」「同1988」「同1990」「同1993」発売。「サントリー オーナーズカスク」販売開始。「ピュアモルトウイスキー 北杜12年」「VINTAGEモルトシリーズ」、「響17年50.5」発売。 |
2005(平成17) | 白州蒸溜所の改修、蒸留器を一部入替え(初・再留各1基)。「復刻版 オールド」「アクアヴィーテ」発売。 |
2006(平成18) | 「シングルモルト白州18年」発売。 |
2007(平成19) | 角瓶70周年に合わせ新「角瓶(黒43°)」「オールド43プレミアムリッチ」発売。 |
2008(平成20) | 「白州25年」「白州蒸溜所樽出原酒1996」「THE CASK of HAKUSHUヘビリーピーテッドモルト1993」「同スパニッシュオーク ボタコルタ1993」発売。「オールド」リニューアル発売。 |
2009(平成21) | 純粋持株会社に移行し、サントリーホールディングスとなる。「白州ヘビリーピーデッド2009」「サントリー角ハイボール缶」発売。 |
2010(平成22) | グレーンウイスキー製造施設の建設を開始。「白州ヘビリーピーデッド2010」「白州バーボンバレル2010」発売。サントリー天然水南アルプスの白州工場を新たに竣工。 |
2011(平成22) | 「白州バーボンバレル2011」発売。 |
2012(平成24) | 発酵槽を4基追加し合計18基となる。「白州(ノンエイジ)」「白州シェリーカスク2012」「白州ヘビリーピーテッド2012」発売。 |
2013(平成25) | カフェ式連続式蒸留機によるグレーンウイスキーの本格生産を開始。「響ディープハーモニー」「響メロウハーモニー」「白州シェリーカスク2013」「白州ヘビリーピーテッド2013」発売。 |
2014(平成26) | サントリー、ビーム社を買収。「ビームサントリー」を設立、スピリッツ業界世界第3位のグループとなる。ポットスチルを4基(初留2基、再留2基)増設、合計16基(初留8基、再留8基)となる。「白州シェリーカスク2014」発売。 |
2015(平成27) | 「響ジャパニーズハーモニー」発売。 |
2016(平成28) | 北米市場向けブレンデッドウイスキー「季TOKI」発売。 |
2017(平成29) | 「響ブレンダーズエディション」発売。 |
2018(平成30) | 「響ブレンダーズチョイス」発売。エッセンス・オブ・サントリーシリーズ販売開始「シングルグレーンウイスキー 白州蒸溜所 ライタイプ」発売。 |
2019(平成31/令和元) | 「杉樽シリーズ・ブレンデッドジャパニーズウイスキー(クリーンタイプ)」「同(リッチタイプ)」、ワールドウイスキー「碧Ao」発売、 ビームサントリー「LEGENT」製造発売。 |
2021(令和3) | 白州蒸溜所、リモート蒸溜所ツアーを開始。「響ブロッサムハーモニー2021」「白州ピーテッドモルト2021」「白州スパニッシュオーク2021」発売。「白州12年」数量限定で再発売。 |
2022(令和4) | 「響ブロッサムハーモニー2022」「碧Ao 〈SMOKY PLEASURE〉」発売。サントリーホールディングス、グループ5会社を再編しサントリー株式会社を設立。2019年から休売していた「サントリー白角」(白州ホグスヘッド樽が主体)を数量限定で販売再開。 |
2023(令和5) | 蒸留所にフロアモルティングを新設。酵母培養プロセスの導入。サントリーウイスキー100周年記念ラベル「白州」「白州12年」発売。国内メーカー5社が協力した「ウイスキー100年プロジェクト-Fellow Distillers-」ブレンデッドウイスキーを発表。「響 BLOSSOM HARMONY 2023」「響ジャパニーズハーモニーアニバーサリーエディション」「響21年アニバーサリーエディション」発売。「サントリープレミアムハイボール〈白州〉缶」「トリスハイボール〈新橋トリスバー監修 ビターライム〉」を数量限定発売。 |
2024(令和6) | 旅行者向けに海外空港で「白州 PEATED MALT SPANISH OAK」発売。「サントリープレミアムハイボール白州〈清々しいスモーキー〉」発売。「サントリーシングルモルトウイスキー白州 Story of the Distillery 2024 EDITION」発売。 |
東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)受賞歴
<TWSC2019>
最高金賞 | 響21年(ベストジャパニーズブレンデッド) |
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銀 賞 | 白州18年/ポールラッシュ生誕120周年記念ボトル(萌木の村) |
銅 賞 | 白州(ノンエイジ)/響ジャパニーズハーモニー |
<TWSC2020>
金 賞 | 白州18年/響21年 |
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銀 賞 | 白州(ノンエイジ)/響ブレンダーズチョイス/響ジャパニーズハーモニー |
<TWSC2021「響21年」殿堂入り>
金 賞 | 白州18年/響21年(ジャパニーズウイスキー・ブレンデッドカテゴリーウィナー) |
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銀 賞 | 白州(ノンエイジ)/響ブレンダーズチョイス/ワールドウイスキー碧Ao |
銅 賞 | 響ジャパニーズハーモニー |
<TWSC2022「響21年」ベスト・オブ・ザ・ベスト【BLENDED】受賞/「「白州18年」殿堂入り、「響21年」(更新)>
最高金賞 | 響21年(Best of the Best) |
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金 賞 | 白州(ノンエイジ)/白州12年/白州18年/響ジャパニーズハーモニー/響 ブレンダーズチョイス |
銀 賞 | 碧Ao |
<TWSC2023>
最高金賞 | 響 21年 (ベスト・カテゴリー賞 ベスト・ブレンデッドジャパニーズウイスキー部門)/響 ブレンダーズチョイス |
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金 賞 | 響 ジャパニーズハーモニー/白州/白州 12年/白州 18年 |
銀 賞 | 碧Ao |
<TWSC2024>
最高金賞 | 響21年 |
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金 賞 | 白州18年 |
銀 賞 | 白州/白州12年/響 ブレンダーズチョイス/碧 Ao |
銅 賞 | 響 ジャパニーズハーモニー |
更新履歴: | 2021年9月10日/9月17日/9月22日/10月28日/2022年5月20日/6月19日/8月21日/2023年2月17日/4月27日/5月19日/8月29日/9月26日/10月10日/2024年4月17日/2024年8月9日/8月22日 |
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