最終更新日: 2024年11月13日
KOMORO 小諸蒸留所
イアン・チャン氏と小諸蒸留所社長の島岡高志氏が軽井沢に蒸留所の建設予定を立てたのは、2019年暮れのこと。イアン氏は元カバラン蒸留所のマスターブレンダーであり、島岡氏は元アメリカ系の金融会社の執行役員も務めた人物。旧メルシャンの軽井沢蒸留所の名声をもう一度との思いもあり、軽井沢での蒸留所建設を検討したが、軽井沢周辺に必要条件を満たす土地を見つけることができなかった。しかしその後、近隣の小諸市に最適な場所を確保。コロナ渦中の建設には様々な障壁があったが、計画から4年後の2023年7月に正式オープンした。
小諸蒸留所の仕込みはワンバッチ麦芽1トン。使用するのは輸入物のノンピート麦芽だが、毎年12月にはピート麦芽も仕込む予定。フェノール値は25ppmと決めており、その理由は、イアン氏が師と仰ぐ故ジム・スワン博士の誕生日が12月25日だからだという。
マッシュタンはフォーサイスのロイタータンで、抽出する麦汁は5,000リットル。発酵槽はステンレス製5基に、ダグラスファー製5基の計10基。現在は1日1仕込みだが、いずれ2仕込みを行う予定だという。ポットスチルもフォーサイス社製で、初留1基、再留1基の2基で、初留より再留のほうが大きいのが小諸の特徴だ。発酵槽1基で得られたモロミ約5,000リットルを初留釡に張り込み、初留を行う。再留釡には初留2回分を一緒にして、約7,000リットルを張り込む。その分、蒸留時間は長めとなるが、小諸らしいリッチでコクのある酒質を目指したいという。
ウェアハウスはすでに2棟が建設済み。外観は体育館のようなドーム型になっており、敷地面積はそれぞれ1,100平方メートルで、高さは13メートル。ダンネージとパラタイズ式を併用した貯蔵庫で、1棟で2,000~3,000樽の貯蔵能力がある。外壁には世界最高品質と言われる東信濃のカラマツ材が使われており、天井の照明は「天使の分け前」になぞらえたリング状になっている。
所在地 | 長野県小諸市甲4630-1 |
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所有者(オーナー企業) | 軽井沢蒸留酒製造 |
創業年(会社設立年) | 2018年 |
ウイスキー蒸留開始年 | 2023年 |
麦芽のフェノール値 | ノンピート、ヘビーピート(年1回12月仕込み)/25ppm |
モルティング | 無 |
ワンバッチ麦芽仕込量(マッシュレイシオ)/仕込回数 | 1トン/一日1回仕込み |
年間生産能力(LPAまたはリットル[平均アルコール度数]) | 10万リットル(計画) |
糖化槽(マッシュタン)・濾過器/数/容量(張込量) | ステンレス・ロイタータン(フォーサイス製)×1基 |
麦汁量/麦汁糖度 | 5,000リットル |
発酵槽(ウォッシュバック)/数/容量(張込量)/発酵時間/モロミ度数 | ステンレス(フォーサイス製)×5基、木製(ダグラスファー)×5基 |
初留器タイプ/数/容量(張込量) | ストレート型(フォーサイス製)×1基/(5,000リットル) |
加熱方式:初留/時間 | スチーム |
冷却装置:初留 | シェル&チューブ |
再留器タイプ/数/容量(張込量) | ストレート型(フォーサイス製)×1基/(7,000リットル) |
加熱方式:再留/時間/ミドルカット(度数) | スチール |
冷却装置:再留 | シェル&チューブ |
ウェアハウス/貯蔵タイプ | 有(2棟)/ダンネージ式・パラタイズ式併用タイプ 1棟2,000~3,000樽貯蔵可能。 |
ボトリング設備 | 有 |
ビジターセンター/見学 | 有/可 |
製品 | ウイスキー |
特記事項 | 浅間山麓の標高約910m、建築面積約1,500平方メートル。鉄骨造、一部鉄筋コンクリート2階建てのビジターセンター、バー・ショップを建設。生産品の6割は海外に輸出する見込み。ウイスキーアカデミーを開講し、観光客を呼び込み地域活性化にも貢献したいとする。社長は島岡高志氏(元シティバンク役員)、副社長に元カバラン蒸留所マスターブレンダーのイアン・チャン(張 郁嵐)氏。チーフエデュケーター兼ブランドコンサルタントは『Whisky-A Tasting Course』執筆者でIWSC 評議員のエディ・ラドロー 氏。 |
2018(平成30) | 創業。 |
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2021(令和3) | 軽井沢蒸留酒製造に名称変更。現地に合同会社小諸蒸留所を設立。起工式、蒸留所建設を開始。 |
2023(令和5) | ウイスキー製造免許を取得。正式稼働、ウイスキー生産開始。竣工式。特別内覧会「小諸市民デー」開催。ビジターセンター開設。蒸留所で「ニューメイク」ウイスキーの提供を開始。 |
2024(令和6) | 「World Whisky Forum」開催。「KOMOROリミテッドエディション」(東京、台湾、小諸各限定)ウイスキーの予約販売を開始。ふるさと納税返礼品限定ウイスキーとして「KOMORO CITY RESERVE 2024」を販売開始。「KOMOROシングルモルトジャパニーズウイスキー栗樽熟成2024」先行予約販売を開始。 |
2027(令和9) | ウイスキー発売(予定)。 |
更新履歴: | 2024年11月13日 |
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