最終更新日: 2024年08月09日
NIIGATA KAMEDA 新潟亀田蒸溜所
JR新潟駅から車で10分ほど。隣接する亀田製菓本社をはじめ、地元企業が集中する工業団地の一角に蒸留所を構える。2019年3月に会社設立後、翌20年6月にウイスキーの製造免許を取得。2020年内に蒸留をスタートする予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により機器の到着が大幅に遅れ、2021年2月からの稼働となった。製造責任者の堂田浩之氏は、印章メーカー最大手「株式会社大谷」の取締役も務める。全くの異業種からの参入だが、元来のウイスキー好きに加えて「世界に通用するビジネスがしたい」との思いから、クラフトウイスキーの製造事業を創案。社名を「新潟小規模蒸溜所」とし、大谷本社工場の倉庫の一部を改装して小さな蒸留所を開設した。
ワンバッチの仕込みは麦芽400kg。麦芽はクリスプ社とマントン社から取り寄せていたが、新潟産の「ゆきはな六条」も使い始めている。糖化槽はビール醸造所でよく使われているチーマン社製のフルロイタータンを使用。ウォッシュバックは木製とステンレス製が3基ずつあり、珍しいアカシア材の木桶はイタリアのガルベロット社が製作したもの(最近ステンレス製の発酵槽はホワイトオーク材のものに替えられている)。ポットスチルはフォーサイス社製の2基が稼働中で、初留釜はランタン型、再留釜はバルジ型だ。ライスウイスキーやラムの生産も行い、そのためにハイブリッドスチルも配備されている。熟成にはシェリー樽とバーボン樽が使われているが、樽オーナー制度やニューメイクウイスキーの発売もすでに始まっている。
日本有数の米どころ、酒どころの新潟では、日本酒のような吟醸香が好まれることもあり「エステル香たっぷりで淡麗なウイスキーを目指している」と堂田氏。今後は海沿いや山間部など、県内各所に熟成庫を設けて様々な味わいのウイスキーを追求していて、高温多湿の環境となるコンテナ内での熟成も行っている。ほかにも粟島とを結ぶ粟島汽船の船底に樽を貯蔵するユニークな計画も立てているという。
所在地 | 新潟市江南区亀田工業団地1-3-5 |
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所有者(オーナー企業) | 新潟小規模蒸溜所(大谷) |
創業年(会社設立年) | 1951年(大谷) |
ウイスキー蒸留開始年 | 2021年 |
仕込水 | 阿賀野川の水 |
麦芽のフェノール値 | - |
モルティング | 有 |
モルトミル | ローラーミル(アランラドック製) |
ワンバッチ麦芽仕込量(マッシュレイシオ)/仕込回数 | 400kg |
年間生産能力(LPAまたはリットル[平均アルコール度数]) | 11万リットル(2023年予定) |
糖化槽(マッシュタン)・濾過器/数/容量(張込量) | フルロイタータン(ドイツ、チーマン製)×1基、ライスウイスキー製造用クッカー×1基 |
麦汁量/麦汁糖度 | - |
イースト菌/添加量 | エール酵母、蒸留酒酵母 |
発酵槽(ウォッシュバック)/数/容量(張込量)/発酵時間/モロミ度数 | (イタリア、ガルベロット製)アカシア×3基/約3,200リットル(2,000リットル)、ホワイトオーク×3基/約3,200リットル(2,000リットル)、2023年4基追加(予定)、その他ラム用ステンレス製×4基 |
初留器タイプ/数/容量(張込量) | ランタン型(フォーサイス製)×1基/2,000リットル |
加熱方式:初留/時間 | スチーム |
冷却装置:初留 | シェル&チューブ |
再留器タイプ/数/容量(張込量) | バルジ型(フォーサイス製)×1基/1,400リットル |
加熱方式:再留/時間/ミドルカット(度数) | スチーム |
冷却装置:再留 | 冷却塔 |
その他の蒸留器(ウイスキー・その他/タイプ/数) | ラム/ヘルメット型ポットスチルとコラムスチル(8棚段)のハイブリッド型×1セット/1,000リットル |
樽詰度数 | -% |
ウェアハウス/貯蔵タイプ | 新潟県内(弥彦村など)複数ヵ所の熟成庫を使用。コンテナ熟成庫(ダンネージ式)も採用。 |
ボトリング設備 | 無 |
ビジターセンター/見学 | 無/不可 |
製品 | ウイスキー ラム その他スピリッツ |
特記事項 | 印章製造の最大手、株式会社大谷が本社工場内に蒸留所を建設。ライスウイスキー、北海道産テンサイを原料とするラム製造もおこなう。 |
1951(昭和26) | 印章製造販売会社、大谷創業。 |
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2018(平成30) | 野村証券主催「新潟イノベーションプログラム」で発表したクラフトウイスキー製造案の事業立ち上げ。 |
2019(平成31) | 新潟小規模蒸溜所を発足。大谷本社の工場敷地内に蒸留所を建設。 |
2020(令和2) | ウイスキー製造免許取得。 |
2021(令和3) | 蒸留開始。樽オーナー制度を開始。 |
2022年(令和4) | 「新潟亀田ニューポット Non Peat」「同 Peated」「同 Niigata Barley」発売。ステンレス発酵槽を木製(ホワイトオーク)に更新。蒸留装置にサブクーラーを設置。ライスウイスキー製造用、ラム(原料:甜菜)製造用機器を設置。新潟県弥彦村など複数カ所に新たな熟成庫を設置。 |
2023(令和5) | 合同会社から株式会社新潟小規模蒸溜所に組織変更。発酵槽4基を追加して10基体制とする。生産能力は年8万リットルから11万リットルに増加。 |
東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)受賞歴
<TWSC2022>
銀 賞 | 新潟亀田ニューポット Non Peat/新潟亀田ニューポット Niigata Barley |
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<TWSC2023「新潟亀田蒸溜所」SDGs賞受賞>
金 賞 | 新潟亀田蒸溜所 ニューボーン ピーテッド |
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銀 賞 | 新潟亀田蒸溜所 ニューボーン ノンピート/新潟亀田蒸溜所 ニューポット ピーテッド |
銅 賞 | 新潟亀田蒸溜所 ニューポット ブレッドイースト/新潟亀田蒸溜所 ニューポット 新潟県産麦芽/新潟亀田蒸溜所 ニューポット ノンピート/ |
更新履歴: | 2021年9月14日/11月14日/2022年5月22日/8月22日/2023年6月16日/8月29日/2024年4月6日/8月9日 |
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