最終更新日: 2024年08月22日
CHICHIBU 秩父蒸溜所
「イチローズモルト」で世界的にその名を知られる秩父蒸溜所は、ベンチャーウイスキーを創業した肥土伊知郎氏が2007年に開設。翌年2月より蒸留をスタートした。開設当時、日本のウイスキーはまさに“冬の時代”で、ピーク時の1980年代前半と比べて国内の消費量は5分の1程度にまで落ち込んでいた。このような逆風の中での新規参入は大きなチャレンジであったが、その後の秩父蒸溜所の快進撃が現在のジャパニーズウイスキーの隆盛と、日本のクラフト蒸留所ブームを呼び込むきっかけとなった。
肥土氏は大手酒類メーカーで営業職に従事したのち、家業の造り酒屋に入社。埼玉県羽生市にあった蒸留所で念願のウイスキー造りに携わるも、経営の悪化により生産停止に追い込まれ、蒸留所も売却されることに。その際、行き場を失った樽を肥土氏が引き取り、独自にウッドフィニッシュを施すなどして売り出したのが最初の「イチローズモルト」だった。羽生蒸留所(~2000年)の原酒を使用した「カード」シリーズは有名で、2014年までに54種類(58本)が発売。後にフルセットがオークションで1億円をつけるなど大きな話題となった。
秩父蒸溜所の仕込みはワンバッチ麦芽400kgと極小規模。マッシュタンとポットスチルはフォーサイス社製で、発酵槽はミズナラ材の木桶にこだわる。輸入麦芽に加えて地元埼玉県産の二条大麦「彩の星」等を使い、フロアモルティングも取り入れるなど、スコッチの製法を下敷きにジャパニーズの個性を活かしたウイスキー造りを行っているのが特徴だ。2019年には10年物の「秩父 ザ・ファーストテン」をリリースし、国内外で高い評価を得ている。
所在地 | 埼玉県秩父市みどりが丘49 |
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所有者(オーナー企業) | ベンチャーウイスキー |
創業年(会社設立年) | 2008年(2004年) |
ウイスキー蒸留開始年 | 2008年 |
仕込水 | 大血川から取水する市水 (軟水) |
原料大麦(品種/産地/メーカー・タイプ) | ドイツ及びイングランド産、スコットランド産ほか埼玉県産の麦芽も使用 |
麦芽のフェノール値 | ノンピート麦芽、ピーテッド麦芽 |
モルティング | 有 |
モルトミル | ローラーミル(アランラドック製) |
ワンバッチ麦芽仕込量(マッシュレイシオ)/仕込回数 | 400kg(マッシュレイシオ1:4)/年約300回(週7回) |
年間生産能力(LPAまたはリットル[平均アルコール度数]) | 5万2,000リットル(LPA) |
糖化槽(マッシュタン)・濾過器/数/容量(張込量) | 撹拌装置なしの特注品(フォーサイス製)×1基/2,400リットル |
麦汁量/麦汁糖度 | 2,000リットル/糖度約14度 |
イースト菌/添加量 | ディスティラリーイースト(プレスイースト)/10㎏ |
発酵槽(ウォッシュバック)/数/容量(張込量)/発酵時間/モロミ度数 | 東北産ミズナラ(木製蓋付き・日本木槽木管製)×8基/約3,200リットル(2,000リットル)/発酵約100時間 |
初留器タイプ/数/容量(張込量) | ストレート型(フォーサイス製)×1基/2,000リットル |
加熱方式:初留/時間 | スチームコイル/約5時間 |
冷却装置:初留 | シェル&チューブ |
再留器タイプ/数/容量(張込量) | ストレート型(フォーサイス製)×1基/2,000リットル |
加熱方式:再留/時間/ミドルカット(度数) | 約5時間/ミドルカット約70% |
冷却装置:再留 | シェル&チューブ |
樽詰度数 | 約63% |
ウェアハウス/貯蔵タイプ | (第1、第2蒸留所共通)ダンネージ式×6棟、ラック式×1棟/第1~4貯蔵庫:各1,500樽、第5・6貯蔵庫:各3,000樽、第7貯蔵庫:1万8,000樽 計3万樽貯蔵可能 |
ボトリング設備 | 有 |
ビジターセンター/見学 | 無/不可 |
製品 | ウイスキー ジン |
特記事項 | フロアモルティングでは10~15トンを製造。製樽工場有(マルエス洋樽の機材を譲り受ける)。 |
2004(平成16) | 埼玉県秩父市にベンチャーウイスキー設立。羽生蒸留所の原酒を笹の川酒造に移設。 |
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2005(平成17) | 「イチローズモルト羽生1988」「カードシリーズ(第1弾)」発売。 |
2006(平成18) | 「イチローズモルト・カード・キング・オブダイヤモンズ」が英国ウイスキーマガジン誌のジャパニーズ特集で最高得点・ゴールドアワードを受賞。 |
2008(平成20) | 秩父蒸溜所を開設。イングランドでのモルティング研修を行う。 |
2009(平成21) | 「ニューボーン」シリーズ、「シングルグレーン川崎」「ギンコー」発売。 |
2010(平成22) | 「MWR」「ワインウッドリザーブ」「ダブルディスティラリーズ」「ザ・ファイナルヴィンテージ・オブ・ハニュウ10年」発売。 |
2011(平成23) | 「秩父ザ・ファースト」「モルト&グレーン」発売。地元農家と大麦栽培を開始。試験的に自家製麦を開始。樽熟成庫を新設。 |
2012(平成24) |
「ザ・ピーテッド」「ザ・フロアーモルテッド」発売。 |
2013(平成25) | クーパレッジ(樽工場)を設置。「秩父オンザウェイ」「秩父ちびダル」発売。秩父蒸溜所がSMWSのモルトウイスキー蒸留所130番として初ボトリング、翌年発売される。 |
2014(平成26) | カードシリーズのジョーカー2種が発売、54種(全58本)の完成となる。地元大麦「ゴールデンメロン埼1号」を有機栽培により復活させる取り組みを始める。 |
2015(平成27) | 香港のオークションでカードシリーズ54本が380万香港ドル(約5900万円)で落札される。「イチローズモルト清里フィールドバレエ26周年」(第2弾ボトル)発売。本格的な自家製麦を開始。 |
2018(平成30) | 秩父山地のミズナラ群生林で伐採したミズナラ材で樽造りを開始。 |
2019(令和元) | 秩父第2蒸溜所を開設、生産能力は約5倍となる。 |
2020(令和2) | 「秩父・ザ・ファーストテン」「イチローズモルト&グレーン505」発売。 |
2021(令和3) | 「イチローズモルト&グレーン ジャパニーズブレンデッドウイスキー リミテッドエディション2021」「イチローズモルト ダブルディスティラリーズ 秩父×駒ヶ岳2021」「イチローズモルト&グレーン クラシカルエディション」発売。ラック式の第7熟成庫を完成。イチローズモルト・カードシリーズ全58本が国内オークションにおいて1億円で落札される。 |
2022(令和4) | 埼玉県浦和競馬組合との“馬いもの”コラボ企画「イチローズモルト&グレーン2022 浦和競馬オリジナル」、「イチローズモルト&グレーン ブレンデッドジャパニーズウイスキー2022」「イチローズモルト秩父ザ・ピーテッド2022」発売。 |
2023(令和5) | ベンチャーウイスキー、北海道苫小牧東部地域(苫東)に新たな(グレーン)ウイスキー蒸留所の建設計画が報道される。国内メーカー5社が協力した「ウイスキー100年プロジェクト-Fellow Distillers-」ブレンデッドウイスキーを発表。「イチローズモルト秩父 シルヴァーオークカスクフィニッシュ2022」「イチローズモルト&グレーン 秩父ウイスキー祭2023 祭ボトル」「同 シングルカスク シングルモルト シークレットアイラ」「イチローズモルト秩父 2015 ヴィンテージ マデイラ樽 Exclusively Bottled for Tokyo International Bar Show 2023」「イチローズモルト&グレーン シングル・カスク・ワールド・ブレンデッド Bottles Exclusively for Cocktail Culture Foundation「イチローズモルト秩父 シングルカスク ミズナラヘッズホグスヘッド」「イチローズモルト秩父 レッドワインカスク2023」「イチローズモルト 秩父 2013 郡山ストリートスピリッツ(蒸留酒)パーティー記念チャリティーボトル(e-POWER シルバーシール )」「イチローズモルト 秩父 2014 6年 郡山ストリートスピリッツ(蒸留酒)パーティー記念チャリティーボトル(スリーリバーズ)」「秩父 2016 7年 Whisky Festival2023 in Osaka記念ボトル GC29」「イチローズモルト&グレーン アンバサダーズチョイス」「Kiyosato Field Ballet 33rd Anniversary 清里フィールドバレエ33周年記念ボトル」「イチローズモルト 秩父 シングルカスク ミズナラヘッズホグスヘッド for CLAUDE WHISKY」「秩父2015-2023 7年 ACORN EDITION サイダーカスク」「イチローズモルト 秩父 ラグビーラベル 2014-2023 高島屋バイヤーズセレクション」「イチローズモルト モルトドリームカスク DANDYLIONリザーブ」「イチローズ・モルト×シルヴァー・オーク セカンド セッション セット」発売。 |
2024(令和6) | 「ブラックアダー 秩父 2015/2024 8年」「イチローズモルト 秩父 オン・ザ・ウェイ フロアモルテッド 2024」発売。「イチローズモルト&グレーン20th Anniversary Edition」発売(予定)。 |
東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)受賞歴
<TWSC2019>
最高金賞 | イチローズモルト&グレーン 清里フィールドバレエ29回記念ボトル(ベストジャパニーズブレンデッド〈プライベートボトル部門〉カテゴリーウィナー) |
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金 賞 | イチローズモルト&グレーン ジャパニーズブレンデッドリミテッドエディション2019 |
銀 賞 | イチローズモルト&グレーン ワールドブレンデッド(ワールドブレンデッド・ノンエイジカテゴリーウィナー)/秩父ザ・ピーテッド2018 |
<TWSC2020 秩父蒸溜所 ベスト・ジャパニーズ・クラフトディスティラリー・オブ・ザ・イヤー2020>
金 賞 | イチローズモルト&グレーン ジャパニーズブレンデッドリミテッドエディション2020(ジャパニーズブレンデッドカテゴリーウィナー)/秩父オン・ザ・ウェイ2019(ジャパニーズシングルモルト・ノンエイジステートメントカテゴリーウィナー)/「秩父2012 7年 ウイスキートーク福岡2019オリジナルボトル(ジャパニーズシングルモルト・プライベートラベルカテゴリーウィナー) |
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銅 賞 | イチローズモルト&グレーン ワールドブレンデッドリミテッドエディション2020(ジャパニーズブレンデッドカテゴリーウィナー)/MWR (ミズナラウッドリザーブ)/ワインウッドリザーブ/ダブルディスティラリーズ |
<TWSC2021「イチローズモルト&グレーン ジャパニーズブレンデッド リミテッドエディション(2019~2021)」殿堂入り/秩父蒸溜所 ベスト・ジャパニーズ・ディスティラリー・オブ・ザ・イヤー2021受賞>
最高金賞 | 秩父モルトドリームカスク DANDYLION BAR限定/秩父ザ・ファースト テン |
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金 賞 | イチローズモルト&グレーン ブレンデッドジャパニーズウイスキーリミテッドエディション2021 |
銅 賞 | ダブルディスティラリーズ |
<TWSC2022「イチローズモルト&グレーン ジャパニーズブレンデッド リミテッドエディション」殿堂入り(更新)>
最高金賞 | イチローズ モルト&グレーン ブレンデッドジャパニーズウイスキー2022 |
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金 賞 | イチローズモルト ダブルディスティラリーズ |
銀 賞 | 秩父 ザ・ピーテッド2022/イチローズモルト 清里フィールドバレエ32周年記念ウイスキー |
<TWSC2023「イチローズ モルト&グレーン ブレンデッドジャパニーズウイスキー リミテッドエディション 2023」【BLENDED WHISKY】ベスト・オブ・ザ・ベスト受賞>
最高金賞 | イチローズモルト ダブルディスティラリーズ/イチローズ モルト&グレーン ブレンデッドジャパニーズウイスキー リミテッドエディション 2023 |
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<TWSC2024「イチローズ モルト&グレーン ブレンデッドジャパニーズウイスキー 2024」ベスト・オブ・ザ・ベスト【ジャパニーズクラフトウイスキー部門】受賞>
最高金賞 | イチローズ モルト&グレーン ブレンデッドジャパニーズウイスキー 2024(BEST OF THE BEST)) |
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金 賞 | イチローズモルト 秩父 レッドワインカスク |
銀 賞 | イチローズモルト ダブルディスティラリーズ |
更新履歴: | 2021年9月9日/9月19日/10月4日/10月29日/11月15日/2022年5月20日/6月19日/8月31日/9月13日/2023年4月27日/5月19日/8月29日/2024年8月8日/8月22日 |
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